近年のテクノロジーの進化と働き方の多様化に伴い、企業研修や試験をWEB上で実施するケースが増えています。従来の集合研修に比べ、時間や場所の制約がなく、コスト削減にも繋がるなど、多くのメリットがあるeラーニングは、現代の職場において急速に普及し、効果的な学習方法として定着しつつあります。
本記事では、費用をかけずにWEB上で研修・試験を行う方法について、具体的な手順や活用できるツール、効果的な実施方法などを詳しく解説していきます。
1. 研修・試験をWEB上で実施するメリット

従来の集合研修とは異なり、WEB上で研修・試験を実施することには、以下のようなメリットがあります。
- 時間と場所を選ばない: インターネット環境さえあれば、いつでもどこでも研修・試験に参加することが可能です。
- これにより、全国に拠点を持つ企業や、海外に駐在員がいる企業でも、効率的に研修を実施することができます。
- また、従業員は自分のペースで学習を進めることができるため、業務との両立もしやすくなります。
- コスト削減: 会場費や移動費、宿泊費などのコストを削減することができます。 1
- 特に、大人数の研修や、遠方の従業員を対象とした研修の場合、コスト削減効果は大きくなります。
- 参加者の学習進捗を把握しやすい: オンライン試験システムを利用することで、参加者の解答状況や理解度をリアルタイムで把握することができます。
- これにより、個々の参加者に合わせたフォローアップや、研修内容の改善に役立てることができます。
- 研修資料の配布・管理が容易: 研修資料を電子化して共有することで、印刷・配布の手間を省くことができます。
- また、資料の改訂も容易に行えるため、常に最新の情報で研修を実施することができます。
- 従業員満足度の向上: 自分のペースで学習を進められるため、従業員の学習意欲を高めることができます。
- 生産性向上: 集中して学習に取り組める環境を作ることで、学習効率を高め、生産性向上に繋げることができます。
2. 必要な手順

WEB上で研修・試験を実施するには、以下の手順が必要です。
- 研修内容の設計: 研修の目的や対象者、到達目標などを明確に定義します。
- どのようなスキルや知識を習得させたいのか、目標とするレベルを具体的に設定します。
- 研修資料の作成: 研修内容に基づいて、テキストやスライド、動画などの研修資料を作成します。
- GoogleスライドやMicrosoft PowerPoint、Canvaなどのツールを活用することで、費用をかけずに資料を作成することができます。
- WEB会議システムの選定: 研修や試験に適したWEB会議システムを選定します。
- 上記で紹介したGoogle Meet、Zoom、Microsoft Teamsなどのフリープランでも、基本的な機能は十分に利用できます。
- オンライン試験システムの選定: セキュリティ対策や採点機能などを考慮して、適切なオンライン試験システムを選定します。
- GoogleフォームやMicrosoft Formsは、無料で利用できるオンライン試験システムです。
- Moodleは、オープンソースの学習管理システムで、試験機能以外にも、教材の配信や学習進捗の管理など、様々な機能を利用することができます。
- 参加者への案内と事前準備: 研修・試験の日程や参加方法、必要な機材などを参加者に事前に案内します。
- 事前準備として、参加者にはWEB会議システムやオンライン試験システムのアカウント作成や、動作確認などを依頼しておきましょう。
- 研修の実施: WEB会議システムを利用して、研修を実施します。
- 研修資料を画面共有しながら説明したり、参加者からの質問に答えたりするなど、双方向のコミュニケーションを意識することが重要です。
- 試験の実施: オンライン試験システムを利用して、試験を実施します。
- 試験時間や解答方法などを明確に伝え、受験者がスムーズに試験を受けられるようにサポートしましょう。
- 結果の分析とフィードバック: 試験結果を分析し、参加者へフィードバックを行います。
- 個別フィードバックや、全体的な傾向を分析することで、今後の研修内容の改善に繋げましょう。
3. 費用をかけずに利用できるシステム

WEB上で研修・試験を実施するために必要なシステムは、様々なものがありますが、ここでは費用をかけずに利用できるものを中心にご紹介します。
- WEB会議システム: 研修や試験時に、講師と参加者、または参加者同士がリアルタイムでコミュニケーションをとるために必要となります。
| プラットフォーム | 最大参加人数 | 会議時間制限 | 主な機能 |
| Google Meet | 100人 | 無制限 | 画面共有、録画 |
| Zoom | 100人 | 40分 | 画面共有、録画、ブレイクアウトルーム |
| Microsoft Teams | 300人 | 無制限 | チャット、ファイル共有 |
• オンライン試験システム: 研修内容の理解度を測るための試験をオンラインで実施するために必要となります。
- Googleフォーム: Googleアカウントがあれば、誰でも無料で利用できます。選択式や記述式など、様々な形式の問題を作成することができます。また、解答の自動採点や集計機能も利用できます。
- Microsoft Forms: Microsoftアカウントがあれば、誰でも無料で利用できます。Googleフォームと同様に、様々な形式の問題を作成し、自動採点や集計を行うことができます。
- Moodle: オープンソースの学習管理システムで、無料で利用することができます。試験機能以外にも、教材の配信や学習進捗の管理、フォーラムなどの機能が充実しており、総合的な学習管理システム (LMS) として活用することができます。
- iroha Board: オープンソースの学習管理システムで、無料で利用することができます。シンプルでフラットな構造と利用しやすいユーザーインターフェースが特徴です。
- 資料作成ツール: 研修資料や試験問題を作成するために必要となります。
- Googleスライド: Googleアカウントがあれば、誰でも無料で利用できます。プレゼンテーション資料を簡単に作成・共有することができます。
- Microsoft PowerPoint: Microsoft Officeに含まれるプレゼンテーションソフトです。豊富なテンプレートやアニメーション効果を利用することができます。
- Canva: フリープランでも、豊富なテンプレートや画像素材を利用して、デザイン性の高い資料を作成することができます。
- ファイル共有: 研修資料や動画などを参加者と共有するために必要となります。
- Googleドライブ: Googleアカウントがあれば、誰でも無料で利用できます。研修資料や動画などを共有することができます。
- Dropbox: フリープランでは、2GBまでファイルを保存・共有することができます。
- OneDrive: Microsoftアカウントがあれば、誰でも無料で利用できます。5GBまでファイルを保存・共有することができます。
- 自社サイト: Web上にPDFデータをアップすることで、手軽に資料共有が可能となります。
4. 研修・試験を効果的に行うための方法

WEB上で研修・試験を効果的に行うためには、以下の点に注意することが重要です。
- 参加者とのインタラクションを重視する:
- 一方的な情報伝達にならないよう、質疑応答の時間を設けたり、チャット機能を活用したりするなど、参加者との双方向のコミュニケーションを意識しましょう。
- 参加者同士の交流を促進するために、グループワークやブレイクアウトルームなどの機能を活用するのも効果的です。
- わかりやすい資料を作成する:
- テキストだけでなく、図表や画像などを効果的に活用することで、理解を深めましょう。
- オンライン研修では、集中力が途切れやすいという点に注意し、簡潔でわかりやすい資料を作成することが重要です。
- フォントサイズや色使い、レイアウトなどにも気を配り、見やすい資料を作成しましょう。
- 動画やアニメーションなどを効果的に活用することで、飽きさせない工夫も必要です。
- 重要なポイントを強調したり、要約をまとめたりするなど、学習内容が記憶に残りやすいように工夫しましょう。
- 試験問題は適切な難易度にする:
- 研修内容を理解しているかどうかを適切に測ることができるように、難易度を調整しましょう。
- 事前に練習問題を配布するなどして、受験者が試験に慣れておくようにすることも大切です。
- 受験者の不正行為対策を講じる:
- オンライン試験では、カンニングなどの不正行為が行われる可能性があります。
- 試験中の画面共有を禁止したり、監視カメラを設置したりするなどの対策を検討しましょう。
- 試験問題をランダムに表示したり、制限時間を設けたりするなどの方法も有効です。
5. オンライン研修のデメリットと対策

オンライン研修は、多くのメリットがある一方で、いくつかデメリットも存在します。
- 技術的な問題: インターネット回線の不具合や、パソコンのトラブルなど、技術的な問題が発生する可能性があります。
- 対策: 事前に動作確認を徹底したり、トラブル発生時のサポート体制を整えておくことが重要です。
- 自己管理の難しさ: オンライン研修では、自分のペースで学習を進めることができる反面、自己管理ができないと、学習が滞ってしまう可能性があります。
- 対策: 学習目標を明確に設定したり、定期的な進捗確認を行ったりするなど、学習を継続するためのサポート体制を整えましょう。
- 孤独感: オンライン研修では、参加者同士の交流が少なく、孤独感を感じてしまう場合があります。
- 対策: グループワークやディスカッションの機会を設けたり、オンラインでのコミュニケーションツールを活用したりするなど、参加者同士の交流を促進する工夫をしましょう。
6. 事例紹介

ここでは、実際にWEB上で研修・試験を実施した企業の事例をいくつかご紹介します。
- 株式会社Atec Japan: 社員1人1人にフィットする小回りの利くeラーニングとしてASPサービスを導入し、社員教育に活用しています。 4
- 株式会社ジャムコ: 社員の自律的・自発的な学びをサポートするため、eラーニング定額制プランLearningSpaceを導入し、1年間で5,500講座の受講を実現しました。 3
- D社: 自動車部品など専門的な製品を製造しているD社では、代理店や販売店の営業スタッフに向けて、商品知識の共有を目的としたeラーニングを導入しました。 5
- 東京理科大学薬学部: リカレント教育の一環として、オンデマンド講座をオンラインで提供しています。受講申込から決済、受講、証明書発行までをワンストップで完結できるシステムを構築しています。 4
- 凸版印刷株式会社: 独自の事例を基にコンテンツを作成し、ライブラリと併用することで、より実践的な学びを提供しています。 2
- 前澤工業株式会社: 自社オリジナル教材とeラーニングライブラリを併用し、全社員の学習ポータルとして活用しています。 2
- 大樹生命保険株式会社: 研修とeラーニングライブラリを組み合わせることで、自律型人材育成の効果を高めています。 2
これらの事例からもわかるように、WEB上での研修・試験は、様々な業種・規模の企業で導入が進んでいます。
実は、私もWEB講習からテストまでのシステムを無償で利用しました。その際研修自体はZOOMで行い、テストにイロハボードを使用しました。また替え玉防止策として、ZOOMで本人を映しながら研修・テストを行う方法で対応しました。またZOOMが途切れた場合を想定し、YouTubeライブで同時配信をし、もしもの対策も取っておりました。
7. まとめ

この記事では、商用フリーで費用をかけずにWEB上で研修・試験を行う方法について解説しました。
WEB上での研修・試験は、時間や場所の制約がなく、コスト削減にも繋がるなど、多くのメリットがあります。
Google MeetやZoomなどの無料のWEB会議システムや、GoogleフォームやMicrosoft Formsなどの無料のオンライン試験システムを活用することで、費用をかけずに研修・試験を実施することができます。
研修・試験を効果的に行うためには、参加者とのインタラクションを重視したり、わかりやすい資料を作成したり、不正行為対策を講じたりするなど、工夫が必要です。
オンライン研修には、技術的な問題や自己管理の難しさ、孤独感などのデメリットもありますが、事前準備やサポート体制を充実させることで、これらのデメリットを克服することができます。
WEB上での研修・試験は、企業にとって、従業員の教育コストを削減し、学習機会を均等に提供できる有効な手段となります。ぜひ本記事を参考に、WEB上での研修・試験導入を検討し、人材育成の効率化・活性化を目指してみて下さい。



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